ホロコースト記念館

2007年12月7日訪問

 山陽新幹線の福山で在来線の福塩線に乗り換えて二駅、10分ほどで無人駅の横尾に着く。
 住宅街を抜け、高屋川に沿って歩くと、10分ほどでホロコースト記念館に着く。

     

 福山市御幸町中津原。
 川沿いにあるこの記念館は、もとは300mほど離れたところにある聖イエス会の教会に隣接して設置されていた。
 2007年10月にリニューアルオープンした。

     

 ここは公立の施設ではない。教団によって運営されているが、宗教色は出していない。
 入場は無料。貴重な資料が無償で提供されているからだという。
 入館すると、まず1階のホールに案内されて、館長出演の館内紹介ビデオを視聴する。

      

ホールの壁面にはホロコーストをモチーフにしたレリーフや絵画などの芸術作品が飾られている。

      

 展示室は2階。メイン展示は、ホロコースト全般についての展示である。

      

 実際の収容所のレンガを組み込んだレンガ壁の再現や、寄贈された遺品や収容所の模型、多数の写真などがホロコーストの歴史と実相を語る。
 杉原千畝など、レスキュアーに関する展示もある。

       

 通り抜けると、記念室がある。150万人といわれる犠牲になった子どもを象徴するという15pの靴と、昇天をイメージするステンドグラスに向き合うように椅子が置かれ、死んだ子どもたちの命に思いをはせる場になっている。
 背後の壁面には、犠牲となった子どもたち70人の写真の額が掲げられている。
 2階の奥は、アンネの展示。アンネ・フランクの父の協力により、遺品や日記帳の精巧なレプリカなどが展示されている。

        

 アムステルダムの隠れ家のアンネの部屋が再現されたスペースもある。
 南に面した窓は、蝶のステンドグラスが設置され、ゲットーで子どもが書いた「もうちょうちょはいない」という詩が書かれている。

 1階には、ホールのほかに「こどもの部屋」とライブラリーがある。

        

 どちらもホロコースト、アンネ・フランクはもちろん、広く戦争についての資料が並べられている。 原書もあるし、ビデオやDVDもある。

        

 子どもが調べるにも、専門的にホロコーストについて研究するのにも役立ちそうだ。
 「こどもの部屋」には、見学に来た学校などからの礼状や感想文集や寄せ書きなども展示されている。
 地元や県内を中心に、岐阜や神奈川の校名もあった。
 また、校種も、小中学校や保育所などさまざまであった。

        

 団体見学には予約が必要だが、事前学習のためのビデオを貸し出してくれるなど、受け入れ体制は整っている。
 西宮市にもアンネのバラの教会があり、小規模だが資料室も併設されている。
 そこと同じく、アンネの父オットー・フランクさんとの1971年の出会いとその後の交流がきっかけになって開設された記念館である。
 裏庭にはアンネの立像がありアンネのバラが植えられている。出来て間がないのでまだバラは咲き誇るというほどではない。

        

 ホロコースト記念館は、オットーさんとのつながりや教団の関係のつながりなどで、多くの実物の資料を収集・展示している。
 また公認された精巧なレプリカなど、再現性も豊かである。
 美術作品が随所に置かれ、すみずみまで平和を求める理念が行き届いているように見える。

        

 その理念は、過去を振り返るにとどまらず、「平和のためにわたしにはなにができるのか」と問いかけ、「平和をつくるために何かをする人になってください」とよびかけるものになっている。

        

 また、紹介ビデオでも展示でも「ヒトラーは選挙で選ばれた。迫害は民主的な手続きで作られた法律によっておこなわれた」ことを明示している。
 選挙や政治の動きに目を向けさせる説明である。
 悲劇への感傷だけの記念館ではないということのひとつの表れであろう。



         ◆許可を得て、パンフレットの写真を掲載しています。

menuへ戻る